中学校2年生に薦めたい本100冊vol.4 7月

夏は再び長編小説に挑戦

夏休みです。読書です。
今の中学生はなかなか
時間がとれないという声も聞きます。
宿題に塾の夏講座に部活動に忙しいと。
でも、子どもたちの
生活の実態をよくよく見ると、
1日の中で時間をとっているのは
メディア機器利用です。
ゲーム、スマホ、メール、
LINE、iPad…。
その時間を読書に振りわければ、
かなり豊かな時間を
過ごせると思うのですが。

では、中学校2年生を想定した
夏休みの9冊です。

その1
「夏を拾いに」(森浩美)

昭和46年の夏。
小学校5年生の「僕」は、
目立ちたい一心で、
祖父から聞いた
「不発弾」探しをはじめる。
仲間は、
単純でマイペースな雄ちゃん、
気持ちの優しいつーやん、
東京から転校してきた高山、
そして「僕」の4人。

その2
「ニライカナイの空で」(上野哲也)

12歳の新一は、父の破産により、
東京からひとり
九州の炭鉱町に辿り着き、
父の戦友という
野上源一郎の世話になる。
野上は酒飲みの荒くれ者だが、
叔母さんは優しく迎えてくれる。
新一はやがて野上の息子の竹雄、
そして町の同級生たちと
たくましく暮らし始める…。

その3
「鉄塔 武蔵野線」(銀林みのる)

転校を控えた夏休み、
小学生の見晴は近所の鉄塔が
「異形」であることに気付く。
「武蔵野75」という番号札を
確かめた見晴は、
数字を遡った先には
「1」があるに違いないと考える。
見晴は電線を辿って
1号鉄塔への冒険を始める…。

その4
「星空ロック」(那須田淳)

夏休みをドイツで
過ごすことになった14歳のレオ。
彼は90歳の友人・ケチルから、
かつて思いを寄せた女性に
思い出のSPレコードを
届ける役目を託される。
一人旅にとまどう中、
同じ歳の少年・ユリアンと出会い、
彼の冒険が始まる…。

その5
「パコと魔法の絵本」(関口尚)

入院した大富豪の偏屈爺・大貫は、
絵本が好きな少女・パコと出会う。
ある日、勘違いからパコの頬を
叩いてしまった大貫は、
彼女が事故の後遺症で一日しか
記憶が持たない病気だと知る。
パコの心に何かを残そうと、
大貫は思い立つ…。

その6
「マウス」(村田沙耶香)

小学校5年生の
内気な女の子・律は、
目立たないことで
自分を守ってきた。
クラス替えで一緒になったのは、
友だちのいない浮いた存在で
いつも理由もわからず
泣いている瀬里奈。
ある日、泣いて教室を
飛び出した瀬里奈を追って
律が旧校舎へ向かうと…。

その7
「TUGUMI」(吉本ばなな)

大学生となったまりあは夏休み、
それまで暮らしていた
故郷の町へと帰る。
そこには従妹のつぐみがいた。
つぐみは病弱だったため
甘やかされて育ち、
意地悪で粗野で口が悪かった。
そんなつぐみは
大学生・恭一に
初めての恋をする…。

その8
「十一月の扉」(高楼方子)

中学2年の爽子が偶然、
双眼鏡の中に見つけた、
不思議な魅力を湛えた洋館。
その家は
十一月荘と名付けられていた。
父親の転勤により
転校が必要となった彼女は、
2学期いっぱいはその十一月荘に
下宿することを決意する…。

その9
「あと少し、もう少し」(瀬尾まいこ)

陸上部の名物顧問が異動となり、
代わりにやってきたのは
頼りない美術教師。
部長の桝井は、
中学最後の駅伝大会に向けて
メンバーを募るが、
集まったのは
元いじめられっ子、
不良、吹奏楽部員等々。
寄せ集めの6人の練習が始まり…。

1~4は
夏休みの冒険を描いていますが、
不発弾探し、無人島探索、鉄塔巡り、
海外一人旅と、
バラエティに富んでいます。
その点、女の子を主人公にした
ひと夏の成長物語は
意外に少ないのに気が付きました。
私が出会っていない
だけかもしれませんが。
5は中学生も大人も楽しめる
娯楽作品です。
あえて言えば
老人のひと夏の成長物語です。

6~8は主人公が女の子です。
女子生徒向けといえます(読書に男女は
関係ないのですが)。
ただし、主人公が読み手と
同年代(中学生)であるのは8だけです。

9は男子の部活動ものです。
特殊な作品構成が読みどころです。

さあ、子どもたちだけではなく、
私たち大人もこの夏
大いに読みましょう。

(2020.6.15)

StockSnapによるPixabayからの画像

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